1979 年 29 巻 158 号 p. 351-361
深沢鉱床上下盤中の変質鉱物を同定し,第2表のごとく変質鉱物の分帯を行った.上盤においては,鉱床に近づくにつれてZonc I→IVと変化し,下盤においては,Zone I→IIIと変化する.上盤においても,下盤においても,Zone I→IIIへの変化は,鉱化作用および後鉱化作用による温度勾配で形成され,Zone IVは後鉱化作用に伴うNaイオンの添加(すなわちNaイオンの化学勾配)によって形成きれたと考える.
Zone IV中のTK-135号のモンモリロン石について,低d001を示すことは前述の通りである.しかしTK-58号については,同様の確認を行っていない.しかし,第4図,第3表から考えて後鉱化作用の中心は,TK-58号,TK-135号を中心とするかなりせまい範囲と言えそうである.なおTK-58号で捕捉している鉱体は,深沢鉱床中では最大の角掛沢鉱体である.