2002 年 2002 巻 53 号 p. 264-267
ミカンキイロアザミウマの加害による被害程度が異なるキク数品種を供試し, 室内で成虫の産卵数および幼虫の発育状況を調査した.同じ容器に複数の品種の葉を入れ, ミカンキイロアザミウマの雌成虫を放飼し産卵させたが, 品種の違いによって産卵数に大きな差は見られなかった.マイクロプレートのセルにキク葉の切片を入れ, 個体ごとに幼虫の発育状況を調べたところ, 葉にひきつり状の被害が多い「秀芳の力」では, 幼虫初期の発育が悪かった.また, キクの茎葉にふ化幼虫を接種して飼育したところ,「秀芳の力」ではほとんど発育が見られなかった.ひきつり状の被害は, アザミウマの加害に対する葉の防御的な反応と考えられ, 葉のひきつり状の被害が大きい品種では幼虫の発育にも影響があると推測された.