北日本病害虫研究会報
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籾殻を伝染源としたMBI-D 剤耐性イネいもち病菌の育苗期感染
高橋 直子猫塚 修一
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2009 年 2009 巻 60 号 p. 8-11

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抄録

岩手県内で発生している,MBI-D 剤耐性イネいもち病菌のPot2rep-PCR 法によるフィンガープリント(FP)解析によると,耐性菌はIwa3 のフィンガープリントパターン(FP パターン)が優占しているが,A 町では特異的にIwa77のFP パターンが優占している.A 町内に広域的に苗を供給している育苗施設では,育苗期間中にハウス周辺に籾殻が放置されていた.この育苗施設で使用された種子,周辺の籾殻,および苗からいもち病菌を分離したところ,いずれからも耐性菌が検出され,Iwa77 のFP パターンの耐性菌は,種子では検出されなかったが,籾殻および苗から検出された.これらのことから,A 町では,Iwa77のFP パターンの耐性菌を保菌した育苗施設周辺の籾殻が伝染源となり,育苗期の苗感染した可能性が高いと考えられ,この苗が町内に配布されたことが,町内の栽培圃場で同菌が優占した原因であると推定された.

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© 2009 北日本病虫害研究会
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