2009 年 2009 巻 60 号 p. 134-138
防除体系を改変しながら,リンゴの有機栽培を2003 年の収穫後に転換してから5 年間実施し,病害の発生状況を調査した.供試園地では,落葉搬出,耕耘等の耕種的な防除に加え,食酢,強酸性水,水和硫黄剤,ニンニク抽出液等様々な防除資材を年間延べ10~16 回使用した.5 年間を通した最重要病害は黒星病で,発病果率は2004 年には77%に達したが,その後防除体系の改変によって2008 年には5%に減少した.モニリア病も2004 年の被害は深刻であったが,翌年から激減した.ただし,すす斑病は発病果率が30%を超える年次があり,今後の課題として残された.その他,葉では褐斑病,斑点落葉病,果実ではすす点病,黒点病,輪紋病の発生が見られたが,2004 年の褐斑病を除いて,いずれも問題となるレベルではなかった.