1995 年 58 巻 1 号 p. 2-8
本報では, DSCとWAXDによるゼラチン・ゲル構造の実験的研究を述べる。我々はpH=5.0, pH=5.3, pH=5.7, pH=6.3のゼラチン水溶液を調製し, このpH域で粘度及びゼリー強度がpHに依存している事を観察した。これを温度履歴 (温度・時間) 管理の下で, ゼラチン水溶液をゲル化させてDSCを測定, 及びゲル化・乾燥させてWAXDを測定した。その結果, 結合部の3本鎖のピッチはいずれのpHにおいても変わらないことが判り, 3本鎖の凝集体の密度のpH依存性がゼリー強度のpH依存性と対応しているように観察された。