1988年1月から1992年6月までの4年半の間に金沢大学耳鼻咽喉科学教室において経験した48例の耳下腺腫瘍について検討した。良性腫瘍は37例で, そのうち多形腺腫が24例, ワルチン腫瘍が11例であった。悪性腫瘍は11例で, そのうち6例が腺様嚢胞癌であった。耳下腺腫瘍においては非上皮性腫瘍は少ないものといわれているが, 今回, なかでも稀な脂肪腫の1例を経験し適切に治療し得たので, その概略について若干の考察を加えて検討した。本症例においては, 腫瘍部分のCT値は-99-107HUであり, 脂肪腫の診断におけるCTの有用性が窺われた。