耳鼻咽喉科展望
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高齢者眩暈患者に対するエレン ® -ペルジピン ® 併用療法の経験
エレン単独投与群との比較
石田 博義宮坂 宏恵
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1993 年 36 巻 5 号 p. 650-656

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抄録

眩暈症例に対して塩酸インデロキサジン (エレン ®) と塩酸ニカルジピン (ペルジピン ®) の併用療法を行い, 以前報告した塩酸インデロキサジン単独投与の臨床効果と比較した。その結果, 両群ともに投与前後の自覚的所見に関しては,「眩暈発作」「眩暈感」「身体動揺感」「頭痛・肩こり」「悪心」に関して有意の改善をみた。他覚的所見では「足踏検査」「頭位眼振」「頭振り眼振」において有意な改善をみた。また「起立検査」「頭位変換眼振」においては, 併用群がエレン単独投与群に比較して, より有意の改善をみた。
すでに動物実験では両者併用療法による薬理学的有効性が明らかになっており, このことから動脈硬化や血流障害が発症原因と考えられる高齢者の眩暈症に対して, 代償機構の促進, 前庭機能の回復を期待できる。
12週という短期の検討ではあるが, 副作用も示さず,「眩暈症」の諸症状に有効な薬剤であると結論した。

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