1995 年 2 巻 254 号 p. 40-48
栃木県産の天然ゼオライト岩 (宇都宮市大谷・矢板市高塩) の利用拡大をはかるため, ゼオライトの鉱物学的性質 (鉱物組成・ゼオライト含有量・化学分析値および陽イオン交換容量など) とアンモニウムイオン・メチレンブルー水溶液の吸着特性について検討した。その結果, 栃木県産3種のゼオライト岩のクリノプチロライト含有量は, それぞれ59%, 50%, 28%で, 大谷産および高塩産の試料には小量ながらモルデナイトが含有されていることがわかった。化学分析値から栃木県産試料は, Fe2O3含有量が多く, また, 産地間により交換性陽イオンであるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の組成に違いが認められた。3種のゼオライト岩の陽イオン交換容量は, それぞれ155,138, 69meq/100gをしめした。アンモニウムイオン吸着量の増加はゼオライト含有量とともに増加する傾向が認められた。しかし大谷産試料のアンモニウムイオン・メチレンブルーの吸着量の高いのは含有しているモンモリロナイトの吸着も関与しているためと推察された。