農業施設
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回分式培養による藻類のCO2固定に関する動力学的考察
藤田 和男前川 孝昭
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1994 年 24 巻 4 号 p. 197-205

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抄録

藍藻を用いたCO2固定装置の評価を目的として回分培養を行った。藍藻Spirulina platensisを供して回分培養装置によりCO2固定, NH3固定を実験・測定した。培養液中のCO2, NH3溶存濃度がCO2の固定速度, 藍藻の生産速度に及ぼす影響を動力学的に解析した。培地中のCO2およびNaOHの溶液濃度を通常より高めた場合 (NaHCO3に換算すると32~64g/l), Spirulinaの生産性は僅かに高まった。N源としてNH3-NとNO3-Nを併用したときは, NH3-N濃度が100 (mg/l) 程度でも生育は順調であった。得られた平均NH3処理速度は1日当たり20 (mg/l) 程度であった。Spirulina の増殖はNH3-NのみをN源とした場合, その濃度が20 (mg/l) 程度のとき最も良く, 200 (mg/l) 以上では死滅した。N源をNH3-Nのみとしたときには, NO3-Nを併用した場合に比べ生産性は1/2~1/3であった。C/N比が10~20程度の時, CO2固定装置として最適の性能がえられ, 平均物質移動容量係数KCO2Laは0.005 (1/h) 程度であった。藍藻Spirulinaを用いた廃水処理ではN源の濃度や組成の制御が重要な課題となると思われる。

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