産婦人科の進歩
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血清CA125が異常高値を示した付属器腫瘍を伴う骨盤内感染症の1例
上月 雅友大塚 志郎小泉 清森山 明宏国重 一郎
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1998 年 50 巻 5 号 p. 519-522

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抄録

Chlamydia trachomatis(以下C.trachomatis)によると考えられたPID(pelvic inflammatorydisease)でCA125が高値を示した症例を経験した.症例は25歳,未経妊.不正性器出血を主訴として来院.経膣超音波にて内性器には異常を認めなかった.諸検査を実施し妊娠反応陰性を確認後,medicalcurettageを試みた.腫瘍マーカーは,CA125が209U/mlと上昇しており,CA19-9およびCEAは正常範囲であった.その後ホルモン治療により不正性器出血は軽快したが,3週間後CA125再検したところ1220U/mlとさらに上昇を認めた.CT,および経膣超音波検査を行ったところ内部が均一で表面整の腫瘤(8×5cm)が左付属器領域に認められた.炎症性疾患が疑われたが,CRPは軽度上昇を認めたもののWBCは正常範囲であった.なお,同時に施行したC.trachomatisのIgA抗体は陽性であった.そこでクラリスロマイシン(CAM)400mg/日×14日間の投与を開始した.CA125は最高4580U/mlまで上昇したが治療開始より約2週間後には381U/m1まで下降した.また治療開始後30週にてCA125は正常範囲となり超音波上腫瘤も消失した.〔産婦の進歩50(5);519~522,1998(平成10年9月)〕

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