産婦人科の進歩
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妊産婦静脈圧に関する臨床的研究
池田 義人
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1971 年 23 巻 3 号 p. 216-238

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抄録

妊産婦の循環動態を解明する目的で正常妊娠, 正常分娩, 麻酔分娩(硬麻), 帝切および産褥時の中心静脈圧(C. V. P. )および末梢静脈圧(S. V. P. またはF. V. P. )を陣痛との関係および体位変換の影響を加えて検討した, その結果, 妊娠4ヵ月ごろよりはS. V. P. 上昇傾向を示し, 妊娠10ヵ月では妊娠3ヵ月での平均値の2倍以上となった. 正常分娩および麻酔分娩時でのC. V. P. は妊娠期と同様に大きな変動を示さなかった. F. V. P. は分娩経過に伴って低下する傾向にあり, 児娩出直後には急激に低下したものの, 産褥5日目でほぼ非妊娠時の圧に復した. しかし帝切時の児娩出直後でのF. V. P. の低下は一層著名であった. また硬麻時の左側臥位でC. V. P. の上昇およびF. V. P. の低下傾向が認められた.
分娩, 特に麻酔分娩時の血圧低下の原因の大部分は妊娠子宮の圧迫による静脈還流量の減少に由来するものと考えられ, 妊産婦管理上に考慮される必要がある.

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© 近畿産科婦人科学会
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