産婦人科の進歩
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臨床研究
馬尾腫瘍から診断された白血病合併妊娠の1例
藤原 睦子高倉 賢二和久田 晃司山出 一郎野田 洋一
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2001 年 53 巻 1 号 p. 9-13

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抄録

白血病が妊娠に合併する頻度は, 妊娠75,000例に1例といわれている. また白血病のうち1∼3%に髄外腫瘤を形成するものがあり, そのなかで脊髄に腫瘤を形成するものは6.4%と報告されている. 今回, 妊娠中に馬尾硬膜外に固形腫瘍を形成し急性骨髄性白血病と診断された稀有な症例を経験したので報告する.
症例は35歳, 2回経妊2回経産. 近医にて妊婦健診を受け順調に経過していたが, 妊娠28週より右下肢にしびれが出現し, 数日後には膀胱直腸障害を呈するようになった. 整形外科を受診し, 脊髄MRIにて馬尾神経腫瘍と診断されたために妊娠31週に当院へ母体搬送となった. 入院後も急激に症状が進行し, 歩行困難も伴うようになり, 妊娠32週で帝王切開にて女児(1774g, Apgar 6/8)を娩出した後に引き続いて椎弓切除術および馬尾腫瘍摘出術を施行した. 術中病理組織診断にて急性骨髄性白血病細胞による腫瘤と診断され, その後さらに末梢血および骨髄検査にてFAB分類のM2(分化型骨髄芽球性)と確定診断. 脊髄腫瘍を形成する急性骨髄性白血病は非常に頻度が低く, 妊娠時の報告は検索したかぎりでは他に例をみない.

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© 2001 近畿産科婦人科学会
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