杏林医学会雑誌
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骨格筋収縮活動時の微小循環動態について
竹宮 隆
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1976 年 7 巻 2 号 p. 57-70

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抄録

骨格筋の収縮活動とその微小循環反応をウレタン麻酔下のウサギ後肢筋で実験した。坐骨神経の電気刺激によるContraction hyperemiaはほぼ2つのpatternsになつた。1∿10Hzでは, 血流は最初から増大し, 復帰過程でも一過性に減少した。約20Hz以上では, 血流は最初に抑制され, 約15秒の経過より増大しはじめ, 復帰過程の約1分をピークに減少しはじめたが, 復帰時間は前者より延長した。Hctは1Hzで変化なく, 5Hzで約104%, 50Hzで約108%の増大をしめした。Hct maxは約120%であった(実測値 : 42.5→51.0%)。Hct変化率より算定したplasma volumeの変動は5Hzで-7.8%, 50Hzで-12.7%であつた。plasma proteinはHctとほぼ同じ変動の傾向をしめした。H^+, Pco_2, plasma osmolalityは60秒の収縮活動後半より復帰過程にかけて増大した。Po_2はPco_2とほぼ逆の変動過程をしめした。以上の結果より次のような総括をした。筋活動時の血流は交感神経性コリン作動神経のactivationによる局所のA-V anastomosisと交通し, かつ心拍出量の増加や中心静脈圧の維持に関与する急速血流(fast blood flow component)と, 同時に生起する局所性細胞の活動で示される透過性のともなう(Hct増大と水移動)緩慢血流(slow blood flow component)より合成されることを実証し, また収縮活動そのもののmechanicalな作用が両componentに与える影響についても考察した。

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© 1976 杏林医学会
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