杏林医学会雑誌
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実験的骨髄炎の病勢判定に関する研究
伊藤 公一
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2001 年 32 巻 1 号 p. 35-45

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抄録

化膿性骨髄炎の病勢を判定する目的で,日本幼若白色家兎102羽を用い,骨髄炎モデルを作製した。骨髄炎の経過中,体重測定, X線撮影および血液検査を行った。血液検査では血清プロスタグランディン値(PGE2値)と血清抗黄色ブドウ球菌IgG抗体価の変動を調査した。これらの結果から対照群,非発症群,自然軽快群および増悪群の4つに分類した。血清IgG抗体価は対照群と非発症群では16週まで0.36-0.56とほぼ一定の値を示し,上昇はしなかった。自然軽快群では8週まで0.62まで上昇し,以後徐々に低下していった。増悪群では, 4週から急速に上昇し, 8週以後も0.72と高値を持続し,他の群と明らかな差を示した。血清PGE2値は対照群と非発症群では10から20前後の数値で著変は認められなかった。自然軽快群は4-6週で240-860前後で,増悪群は4週で5500前後の高値を示し,増加率は後者が高かった。血清IgG抗体価と血清PGE2値の変動は実験的骨髄炎の病勢の判定に重要な指標になると考えられた。

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© 2001 杏林医学会
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