杏林医学会雑誌
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閉経前両側卵巣摘出例の骨代謝変化に関する臨床的研究
清宮 由美子
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1993 年 24 巻 2 号 p. 213-222

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抄録

閉経前卵巣摘出女性における腰椎骨密度(BMD)および骨・カルシウム代謝に及ぼす影響を検討した。調査対象は術前例(Pre群),閉経前子宮摘出例(HX群),閉経前両側卵巣・子宮摘出例(OOX群)であり,横断調査法および縦断調査法にて検討を加えた。横断調査法(Pre92例,HX127例,00X186例)では,00X後2.5年までBMDは急速に低下した。縦断調査法(HX43例,00X71例)においても,00X直後より2年間の骨密度減少が最も急速であった。骨形成のマーカーであるosteocalcinは術後上昇し,その後も高値を持続したが,尿中d-pyridinolineは一過性に上昇した後下降した。カルシウム代謝調節ホルモンのPTHは術後2.5年以降上昇し,高値を持続した。以上より,卵巣摘出後2〜3年間は骨密度低下が著明であり,この時期の骨密度変化はカルシウム代謝調節ホルモンおよび骨代謝マーカーの変化と連動していた。

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© 1993 杏林医学会
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