杏林医学会雑誌
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アミノヌクレオシド・ネフローゼにおける細胞性免疫の検討
有村 義宏中林 公正辻 正人長沢 俊彦木村 常雄
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1985 年 16 巻 3 号 p. 381-387

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抄録

ヒトの慢性糸球体腎炎の中で, 微少変化群(MCNS)はその発症進展に細胞性免疫が関与していると考えられている。一方, ラットのアミノヌクレオシド(AN)腎症は, その臨床症状, 腎組織所見がヒトMCNSと類似しているため, ヒト微少変化群のモデルとされている。しかし, ラットのANネフローゼにおける細胞性免疫の関与については, いまだ明らかでない。このため, 今回我々は, ラットANネフローゼにおいて, フローゼ期の末梢リンパ球subsetsの変動, Phytohemagglutinin, Concanavalin A, Pokeweed mitogenなどの各種mitogenに対するANネフローゼラットのリンパ球幼若化反応を検討した。その結果, ANネフローゼでは, 末梢血リンパ球subsetsのうち, B細胞の比率が上昇していた。又, リンパ球幼若化反応では, PWM刺激において反応性の亢進が認められた。これらのことより, ラットANネフローゼにおいても, ヒトMCNSと同様な免疫学的な異常の存在している可能性が推測された。

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© 1985 杏林医学会
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