杏林医学会雑誌
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DIP 施行後生じた Contrast nephropathy の一症例
蓬田 茂吉田 雅治長沢 俊彦
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1982 年 13 巻 1 号 p. 73-77

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抄録

38歳, 女性。多尿期にある慢性腎不全患者にDrip infusion pyelography (DIP)を施行したところ, 翌日より尿量減少, BUN・血清クレアチニンの上昇がみられた。電解質補液, 食事療法にてこの腎機能低下は20日間の経過で寛解した。本症例における一過性の腎不全の悪化は慢性腎不全多尿期にある患者にDIP施行前に存在した嘔吐, 下痢などの消化管症状による脱水が加わったことが原因と推定された。近年, DIP施行に伴う可逆性, あるいは非可逆性の腎機能低下が注目されているので, そのrisk factorsについて考察した。一方, 最近, 脳CTスキャンのenhance, 動脈撮影など造影剤を使用する放射線医学検査が行なわれる機会が多いが, これらの施行にあたってはDIP施行の場合と同様の注意が必要なことを強調した。

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© 1982 杏林医学会
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