杏林医学会雑誌
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分娩を経過した急性単球性白血病の 1 剖検例
嵐 賢治藤本 尚資平田 俊吉相引 利行横山 登肥後 理小俣 好作
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キーワード: 急性単球性白血病, 妊娠
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1980 年 11 巻 4 号 p. 427-433

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抄録

腹式帝王切開術で生児を得たのち約3週間で敗血症のため死亡した急性単球性白血病の1剖検例につき報告した。症例は24歳の主婦(初妊婦)。妊娠16週頃より貧血を指摘され鉄剤, 輸血等の治療をうけていたが妊娠36週頃より発熱, 鼻出血が出現。妊娠37週, 腹式帝王切開術で2351gの男児出産。出産後, 鼻出血の持続, 白血球増多より急性白血病の疑いで昭和54年9月2日, 当科入院。入院後, 諸検査にて急性単球性白血病と診断, DCP療法を開始したが治療後, 帝王切開部術創の離開が出現, また静脈血中および術創よりE.coliが検出され治療の効なく敗血症のため死亡した。妊娠と急性白血病の合併は近年増加しているが妊娠継続の是非, 治療といった点については現在, 確立されたものはない。本稿では内科的見地から妊娠合併急性白血病における2∿3の問題点について検討した。

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© 1980 杏林医学会
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