杏林医学会雑誌
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急性白血病に併発した感染症
相引 利行嵐 賢治肥後 理
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1980 年 11 巻 4 号 p. 401-407

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抄録

急性白血病に併発する感染症は致命的合併症であり, 原病治療における重大な問題である。今回われわれは感染症と末梢好中球数, 抗生物質などとの関係につき, 当院に入院治療した23症例につき検討した。結果 : 末梢好中球数の減少に伴い, 発熱日数の増加を認め, その78%は末梢好中球数が500/mm^3以下であった。菌検出73回中45回(61.6%)および菌血症, 敗血症7回中6回(85.7%)がグラム陰性桿菌であった。検出部位は上気道が最多であった。末期よりも寛解導入時に感染症が多く認められた。最も有効であった抗生物質はアミノグリコシド系とセファロスポリン系の併用であった。抗生物質治療中の末梢好中球数の変動より, 抗感染因子として末梢好中球の重要性が推察された。今後, 尚一層の感染症に対する注意深い観察およびより効果的治療が必要と考えられた。

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© 1980 杏林医学会
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