杏林医学会雑誌
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小児下肢長管骨骨折後の下肢アライメントに於ける臨床的観察
布田 由之
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1980 年 11 巻 4 号 p. 393-400

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抄録

小児下肢骨折後, 残存した各種の転位(特に屈曲転位)が骨の発育層にどのような影響があるかを検討した。15歳以下の下肢長管骨々折患者で, 調査時有意の転位を示したものは82例であった。この非生理的変化に対する股, 膝, 足部の骨幹端発育層の変化を正面X線像より観察した。その測定方法は白石, 和田らの方法を参考にして, それぞれH, F, T, A角を測定し, その変化を健側と対比した。その結果H, F, T角では屈曲転位の程度に比例して増加している傾向を認めた。A角には変化はなかった。屈曲転位の残存は機能軸の時中心よりの偏位を大きくするはずであるが, 実際は著明でない。患児は早期に正常歩行するので骨発育層のStressは大きい。そしてその反応は骨折部位よりも骨発育層の方が大きく, しかも機能軸を調整するように反応しているようである。またかなり早期に行われるため, 局所の屈曲転位の矯正は緩慢となるのではないかと推察される。

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© 1980 杏林医学会
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