主催: (一社)日本家政学会
会議名: (一社)日本家政学会第68回大会
回次: 68
開催地: 金城学院大学
開催日: 2016/05/27 - 2016/05/29
目的:子どもは、発達すると共に自分の要求と親との要求が異なる場合に出会うが、その際、自分の要求を通そうとするとき、葛藤が生じる。1~2歳児は、葛藤が生じた場合には泣いたり、怒ったりするなど感情を直接的に相手に表出するが、3歳児になると相手の要求が自分にとってイヤな気持ちである場合には、間接的に表すのではないだろうか。本研究では、発達と共に子どもが葛藤にどのような折り合いをつけていくのかというプロセスを、特に一般的に言われる3歳児(幼児前期から後期の移行期)の特徴が生活の中でどう出るかの側面から明らかにする。
方法:本研究の対象児は、200X年2月生まれの男児Yである。家族構成は、父、母、弟K(200X年+3年4月に誕生)の4人家族である。観察記録については、甥Yが誕生してからの日時や時間を設定せず生活の中で、Yとかかわる際には記録を取ってきた。事例は一児であるが、縦断的研究である。ここでは、目的に即して3歳児に焦点を当てエピソードを抽出した。
結果と考察:3歳児には、発達的に質的な変化が見られるが、それは生活の中では葛藤克服の方略に明確に表れる(表出~表現)ことが分かった。即ち3歳児は、葛藤が生じた場合、自分のイヤな気持ちを間接的に表現するようになる。ここでは、この間接的な表現を迂回と称した。保育では、迂回等間接的な要求表現が予想される頃には、諸表現が可能になるよう、試行錯誤の「間」を取ることが必須であると示唆された。