一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: 3C-05
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口頭発表 5月29日 健康・震災・福祉
東日本大震災で被災した学校の教員が取り組んだ仕事とその課題
*吉井 美奈子生田 英輔萬羽 郁子加藤 浩文大竹 美登利山崎 泰央坂田 隆小川 宣子佐々井 啓中島 明子宮野 道雄浜島 京子久慈 るみ子野田 奈津実
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抄録

目的 東日本大震災では,多くの被災者たちが学校や公共施設への避難を余儀なくされた.本研究では,東日本大震災で宮城県石巻市やその周辺地域で被災した学校,及び避難所となった学校教員を対象として,インタビュー調査を実施した.本報告では,被災した学校からの避難指示や児童・生徒の安否確認などに関する課題,図らずしも避難所となった学校教員の運営に関する課題を明らかにする.
方法 石巻市やその周辺で被災した学校(小,中,高)に勤務していた教員を対象とし,半構造化面接法に基づくインタビューを実施した.調査期間は,平成25年8月~平成27年8月である.
結果 学校が被災した教員の語りから,発災直後の混乱の中での児童・生徒への適切な避難指示の問題が明らかになり,適切な指示の在り方を再考する必要性がみられた.学校施設は地域住民の緊急避難場所の役割を果たすことが多い.しかし,今回のような長期化する避難所運営にあたった教員の語りから,その運営の責任者が不明なまま,避難所運営に深く関わる結果が明らかになった.支援する教員も多くは被災者であるにも関わらず,更に児童・生徒のケアに期待がかけられ,負担も大きくなった.これらの結果から,特に学校教員には,学校避難所の運営と教育環境の保持,児童生徒のケアといった重層的な負担がかかる事が明らかとなった. 本研究はJSHE生活研究プロジェクトの活動として実施した.科学研究費補助金(課題番号:24300243,25350040)の助成を受けた.

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