一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
61回大会(2009年)
セッションID: 2P-41
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デイケア通所高齢女性における感情状態及びストレスホルモンの化粧による変化
*平林  由果渡辺 澄子
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抄録

【目的】超高齢社会となった現代において、高齢者自身が社会に適応し、自立することが求められている。おしゃれを楽しむことは人に活力を与えると言われており、ファッションセラピーやコスモセラピーを取り入れている高齢者施設が増えつつある。化粧は人を魅力的にし、それにより人は自信を持つことができ、物事に積極的に取り組めるようになると思われる。そこで本研究では、高齢者における化粧の効果を検証するため、化粧前後の感情状態の変化および唾液中のストレスホルモンの濃度を観察した。
【方法】デイケアセンターに通所している75~95歳の女性35名に対し、各自のパーソナルカラーを診断し、結果に基づいたカラーで化粧を行った。化粧前後に、多面的感情状態尺度を肯定的・否定的な35項目について尋ねた。同時に唾液を採取し、唾液中のストレスホルモンを分析し、化粧前後で比較した。残念ながら、唾液量が少なく分析できなかったサンプルが多く、前後とも分析できたのは、コルチゾールで16名、アミラーゼと免疫グロブリンAは11名のみであった。
【結果】約半数の被験者は、外出時に身だしなみに気を遣う、おしゃれに関心があると回答した。しかし、6割は外出時に化粧を全くしない被験者であった。化粧後には、「快活・爽快」、「充実」、「優越」の肯定的感情状態が高まり、わずかであるが否定的感情が低下する傾向がみられた。また、16名中12名において化粧後のコルチゾール分泌量が減少した。以上の結果は、化粧をすることで気分がよくなり、ストレスが緩和されたことを示唆している。どの被験者も化粧後の表情は化粧前より明るかった。高齢者に活力を与える手段として、化粧は効果的であると考えられる。

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