方法平成11年から平成19年の9年間に、季節感をテーマにした授業で採取した短大生の俳句1359首1509季語(主季語に限らず季語全て採取したため、季語数は俳句数より多い)を、現代俳句歳時記1)の分類にしたがって分類し、平成19年現在の学生の住環境調査とあわせて分析する。また、上記俳句歳時記記載の住生活に関する季語を抜き出し、若者がどの季語に重ねるかをみた。
結果学生の季語の分野は生活分野が最も多く49.2 %、ついで天文・時候の分野28.1%である。生活分野の中で住生活にかかわる季語は43.2%で最も多い。季節感に身近な住生活の行為が取り上げられていることが分かる。平成19年学生の住環境調査では、87%の親が持ち家でありまた室数は回答されたものの53%は5LDK以上がこれらの背景にある。
俳句歳時記の生活分野における住生活に関する季語のなかには、現在では老舗料亭や民家にしかみられないものもある。<敷松葉><松手入れ><炉塞ぎ><障子張る><畳替え><夏館><冬館>など住宅や庭のきめ細かなメンテナンスを通して季節を感じるユタカな住文化が感じ取れる。
[文献]金子兜太(編):現代俳句歳時記,(2000)