一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 3J3
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3日目口頭発表
明治初期の遊所女紅場の設立趣旨と教育
―静岡県下の女紅場を中心に―
*知野    愛
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抄録


(目的)明治初期に「家政の要務」を教育するため、紡織・裁縫等の工芸を教授し読書・習字・算術等も教える場所として女紅場という存在があったが、静岡県内に現存する資料に基づき、静岡県下女紅場の実態と意義について調査し、女紅場の教育的側面、設立の経緯・趣旨等について考え、当時の家政教育のとらえ方の一端を調査することを目的とする。
(方法)静岡県内に残る資料に基づく文献法とする。
(結果)明治7年静岡安倍川町に女紅場が開設されたが、それは貸座敷業者が芸娼妓の教育を目的として設置したものであり、毎年約140人が在学していた。翌年、浜松県は女紅教場の女教師を公募し、元城町女工教場、沼津女紅場等が開設され、12年には静岡県が裁縫家塾を女紅場と改称している。教科としては読書、習字、算術、裁縫、画学等があり、画学を採用した点は全国の女紅場にはない特色である。女紅場生徒の勉強ぶりに感服したという当時の新聞記事や、開設の際の祝辞等に生徒達への期待が読み取れる。家政教育が当時の人々にどのように受けとめられたのか、そして芸娼妓対象という限られた教育の場において、どのような意図で家政教育が目指されたのか、その一端を調査した。

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