一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 3I1
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3日目口頭発表
保育所における障がい児保育の保育負担感と保育体制
-ノーマライゼーションにつながる統合保育のあり方(2)-
*立松 麻衣子松崎 彩
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抄録

目的 保育所では,高度な保育技術や保育士数など様々な課題があり,保育士が満足のいく統合保育の実践が難しい現状もある.本研究では,ノーマライゼーションにつながる統合保育を追究するために,障がい児保育における保育士負担感と保育体制の実態把握を行う.
方法 障がい児保育における(1)保育士の保育負担感,(2)保育所の保育体制,の実態を把握するために全国保育所300ヶ所に対して郵送方式のアンケート調査を実施した.(1)保育士調査は300ヶ所600票配布し,50ヶ所91票の回答を得た.(2)保育所調査は300ヶ所300票配布し,89票の回答を得た.調査期間は平成18年9月~10月である.
結果 (1)保育負担感から保育士は「総合的負担感強型」「受入体制不満感型」「専門能力不足感型」「中程度型」「総合的負担感弱型」の5類型に分類できた.負担感が強い保育士のうち,経験の浅い保育士は,保育体制への不満を抱えており,経験豊かな保育士は,その子らしさの追求と自己能力の間に生じるジレンマを抱えていることが多い.さらに,障がい児保育の現場では,加配保育士や専門スタッフの配置などの「人的環境整備」と,医療との連携や保障制度の確立などの「保育体制作り」が強く求められている.(2)保育所の人的環境は,加配保育士はいるが(80.7%),障がい児保育の専門的知識・技術をもつスタッフはいない(61.4%)という保育所が多い.また,障がい児保育のための講座参加(91.2%)やケース検討会(86.0%),専門家からの指導(82.5%)等は積極的に行われている.連携機関は,行政(63.2%),療育センター(49.1%),児童相談所(49.1%)と続くが,医療機関との連携や,小学校や養護学校等との就学につなげるための連携は希薄である.

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