一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 3H2
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3日目口頭発表
プレ高齢者の近居に関する研究
*横江 麻実
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抄録

【目的】戸建住宅に居住する50~60代前半の親世帯とその子世帯との近居生活の実態を把握することを目的とした。
【方法】2006年10月~2007年1月にかけて、当社の戸建住宅入居者19件において訪問調査・カメラ調査を実施した。調査対象者の条件は、居住地が三大都市圏で、夫婦健在であり、移動手段を問わず移動時間30分以内に既婚子世帯を有する方(既婚同居子がいないこと)とした。
【結果】近居は「世代間コミュニケーション」や「子の生き方支援(就労継続、育児など)」という視点で捉えることも重要だが、一方で「介護支援」すなわち子世代による介護への期待感に着目すると、近居は「契約近居」「様子見近居」「ドライ型自律近居」「自己抑制型自律近居」の4パターンに分けられた。「契約近居」は、将来自分たちの面倒を見てもらうことを子どもと約束している。「様子見近居」とは、同居への移行を視野に入れながらも現在は一定の距離を維持したいと考えている。「自律近居」とは、近居しているが、将来的にもこの距離を保つ。「ドライ型自律近居」とは子どもに面倒を見てもらう気はなく、将来は公的サポートや、施設入居等の住み替えを考えている。一方、「自己抑制型自律近居」とは、自分の子との同居は物理的に難しいため、積極的に子どもをあてにすることは出来ない。本格的な少子高齢社会の到来や核家族化の進展などにより、家族機能が大きく変化していることからも、近居の各パターン別で、親世代・子世代・孫世代の3世代のQOLを最大化する「近居・育孫支援住宅」の提案が求められる。

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© 2008 一般社団法人 日本家政学会
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