一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 2P51
会議情報

2日目ポスター発表
ウォームビズ対応市販肌着の素材性能に関する実験的検討
*鄭 晶晶田村 照子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的近年ウォームビズ対応を標榜した各種保温肌着が市販されている.本研究は各種素材の保温性等,着心地に関わる衛生学的性能を実験的に評価し,それらの実態に関する知見を得ようとするものである.
方法今回対象とした試料は熱伝導率が小さいことを謳ったポリ塩化ビニル繊維,空気の保温性と軽さを謳ったポリエステル中空繊維,高吸湿発熱性を謳ったアクリレート系繊維,温度による相変物質をレーヨンに練り込んだ繊維の4種を用いた市販品並びに綿メリヤスを対照として,実験に供した.測定項目は保温性,通気性,吸湿性,吸水性,接触温冷感(q-max)で,スキンモデル実験による衣服内気候変化の観察,この他各性能を検討する為の実証実験を追加した.
結果(1)ウォームビズ対応肌着は快適性を担保するため,広告繊維以外に様々な繊維がブレンドされていた.いずれも,綿メリヤスより高い保温性,低いq-maxを示すが,その要因としては素材の厚さが大きく,表面の毛羽等に工夫が見られた.(2)厚さの効果を除外する為,厚さの近似したポリ塩化ビニル100%,ポリエステル100%の素材4種を比較すると,繊維の熱伝導率の影響は小さく,その効果がq-maxに認められた.(3)空気の湿度変化が試料表面温度に及ぼす影響をサーモグラフィで観察した.アクリレート系繊維の吸湿発熱性は高いが,その効果は混率に依存することが分かった.(4)熱板の表面温度を急激に変化させ,PCMの相変化を調べたが,顕著な効果は認められなかった.(5)中空繊維試料は単体では保温性が低いが,Yシャツを重ねると,保温効果が発揮された.(6)ウォームビズ試料の広告•実態間には若干の差が認められ,今後の課題と考えられる.

著者関連情報
© 2008 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top