一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 2P32
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2日目ポスター発表
国産小麦粉を用いたパンの調製と膨化に関する研究
*下坂 智惠
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抄録

目的一般に、国産小麦粉はグルテン含有量が少なくパン作りに不向きとされてきた。しかし、最近では各地でパン用粉に特化した小麦の品種改良が進み、製パン性を考慮した小麦が生産されるようになってきた。実際に国産小麦粉を用いた様々なパンが市販されるようになり、これらの料理本も多数出版されている。本実験では、国産小麦粉に白神こだま酵母を用いたときのパンの調製方法と膨化について検討を行った。
方法小麦粉に砂糖5%、食塩1.6%、白神こだま酵母2%、水65%を加えて混捏し、1次発酵後50gずつに分割して丸め、2次発酵を行い、180℃の高速ガスオーブンで15分間加熱し室温に30分間放冷後、測定試料とした。生地の膨化率、パンの重量、体積、水分を測定し、クリープメータを用いて破断強度解析を行い、最大荷重を測定した。さらに顕微鏡によるパンの組織観察、測色色差計によるパン断面の測色を行った。
結果生地を750回連続して混捏したパンは、250回混捏したパンよりも比容積が高く、最大荷重値が低かった。生地を250回混捏後5分間ねかし、更に250回混捏したパンは、750回連続して混捏したパンと比容積、最大荷重値がほぼ同様であった。国産小麦粉と外国産小麦粉で同様に調製し比較すると、生地の膨化率は前者の方が高く、パンの最大荷重値は皮の部分では差がみられなかったが、パン内相部では前者が後者の半分以下となった。生地及びパンの水分はほぼ同様であった。国産小麦粉と白神こだま酵母を用いてパンを調製するには、生地を混捏後途中で5分間ねかし、更に混捏することで捏ね操作が少なくなり効果的であった。国産小麦粉の製パン性には、白神こだま酵母が適することが認められた。

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