日本家政学会誌
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サラダ菜の品質に及ぼす貯蔵温度および湿度の影響
葉菜類の鮮度に関する研究 (第1報)
畑江 敬子酒井 光子島田 淳子
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1990 年 41 巻 12 号 p. 1143-1149

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抄録

サラダ菜の品質に及ぼす冷蔵保存中の温度と湿度の影響を調べた.温度 (2, 5および8℃) および湿度 (40, 60および80%RH) を設定した冷蔵庫の野菜室に, サラダ菜を4および10日間貯蔵し, 重量, ビタミンC量, クロロフィル量および外観の変化を測定, 評価した.その結果次のことが明らかになった.
(1) 貯蔵中の試料重量は, 最低温ならびに高湿度の環境で最もよく保持されていた. [2℃-80%RH] で10日間貯蔵の試料における重量保持率は86%であり, [8℃-40%] の試料における保持率57%に比べて約30%も多く保持された.
(2) 総ビタミンCは, 2℃においてよく保持されており, 10日後には8℃の試料の2倍以上の保持率を示していた.しかし3湿度間に有意差はみられなかった.一方, 還元型ビタミンCには温度, 湿度ともに影響を及ぼしており, [2℃-80%RH] において10日後の保持率が24.4%であるのに対し, [8℃-40%RH] ではほとんどが失われていた.また, 外観の保持にかかわらず, 貯蔵日数が長くなると, ビタミンC量の減少はまぬがれないことが認められた.
(3) クロロフィルの保持には高湿度環境が適しており, 80%RHの試料と40%RHの試料では, その保持率に10%程度の差があった.温度条件は2~8℃といずれも低温度域であったため, クロロフィルの保持に温度間の有意差はみられなかった.
(4) 重量, ビタミンCおよびクロロフィルの保持率と, 外観の品質評価との間には高い相関がみられた.

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