家政学雑誌
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バタークリームの理化学的性状 (第2報)
家庭用マーガリンによるバタークリームの物理的性質のと外観の関係
越智 知子日比 泰子工藤 多賀子土屋 京子
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1984 年 35 巻 4 号 p. 235-241

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抄録

試料として市販の家庭用マーガリン5種(A~E), 業務用マーカリン2種(F, G) を用いた.攪拌温度の異なるバタークリームを試作し, 物理的性質と絞り出したデコレーション用星形・パラ形の外観に対する官能検査 (成形性・保形性) との関係について検討し, 次の結果を得た.
1) クリーミソグ価で最高値が得られる攪拌温度はÅ~D : 20℃, E, F : 15℃, G : 30℃であり, その場合におけるクリーミング価は178~211の範囲内でマーガリンの種類によって差がある.
クリーミング価の最高値が得られたパタークリームと同温度におけるSFIは, どのマーガリンも約11~12であったが, Eは約10であった.
2) 成形性はどのマーガリンでもそれぞれに適した温度で攪拌すれば高い評価を得たが, F, GはA~Eより比較的広い温度範囲で好ましい結果が得られた.成形性の温度依存性はA~Dは種類による差は小さいが, E, F, Gは異なっていた.
3) 成形性の官能検査の結果最も好ましい外観とされたバタークリームは, クリーミング価の最高値を示した攪拌温度に近い温度で得られた.
4) 成形性の官能検査の結果最も好ましい外観とされたバタークリームの硬さは, A~E : バラ形5.0~5.7R.U., 星形2.2~3.5R.U., F・G : バラ形4.3~7.1R.U., 星形3.3~5.0R.U.であった.
5) 保形性の官能検査の結果, 保存温度20℃ではE, Fが他のマーガリンよりやや劣っていた.最も好ましい保形性の評価を示した温度におけるマーガリンのSFIは, 約10以上であった.
6) 成形性評価の指標としてはマーガリンのSFI, バタークリームの硬さおよびクリーミング価が, 保形性評価の指標としてはSFIが有効であることが示唆された.

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