家政学雑誌
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カスタードプディングの品質におよぼす加熱速度の影響 (第1報)
布施 静子冨山 アイ子松元 文子
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1977 年 28 巻 4 号 p. 264-272

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抄録

1) 従来, カスタードプディングや茶碗蒸しのような希釈調味卵液の静置加熱では低速度で加熱することが品質のよい製品を得る条件とされていたが, 本実験により, 調理器具と熱源のいかんにかかわらず, 強火で短時間加熱し, 余熱を利用することによっても良質の製品が得られることがわかった.
2) 余熱利用は中心部最高温度86℃以上で効果が見られるが, 低温度では効果はない.
3) 圧力鍋は蒸し器に比べ, 加熱力が小さい場合には温度上昇速度を小さくするが, 加熱力が大きい場合は両者の差はほとんどない.卵たん白のように100℃以下で凝固する食品の高速加熱には圧力鍋使用は特に意味がないように思う.
4) 製品の硬さを比較すると, 圧力鍋は蒸し器に比べ, 加熱力が大きい場合には硬く, 加熱力の小さい場合には, 蒸し器の方が硬い結果となった.
5) 分離液量およびその濁度や粘度については本実験のような苛酷な条件によっても大差はなかったから, プディングの実用範囲では全く問題はないものと考えて差支えない.
6) 同一試料による製品間の色差は色差計では “わずかに差がある” あるいは “感知されるほどの差” を示す数値であって, 肉眼的にも差が認められた.

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