本研究では, 重度要介護高齢者への介入方法を検討するための基礎調査として, ロイシン高配合食品を用いた長期的な栄養介入を行った. そして歩行速度と歩行比の変化に着目して, 重度要介護高齢者の歩行機能への効果を検討した.
特養入所者を, ロイシン高配合食品による介入をする介入群13例と対照群8例に分類し, 8ヶ月間の介入を行った. 介入期間前後には食事調査, BMIとMNA®-SFの算出, 歩行測定を行った. 歩行測定からは, 自由歩行速度, 歩幅, 歩行率, 歩行比を算出した.
統計分析から, 介入群は, 多様な食品が摂取されBMI, MNA®-SFが低下しないような身体状態だったが, 歩行速度が改善しなかった. しかし, 対照群との比較において介入群は歩幅と歩行比が維持され, ロイシン高配合食品の長期的摂取は転倒リスクを高めない歩行に好影響を与える可能性があると考えられた.
加齢により低下する筋力・筋量を維持することは高齢者の日常生活活動を支える. 本結果は, 重度要介護高齢者の歩行機能を維持するための介入についてさらなる研究が必要であることを示唆している.