2019 年 70 巻 4 号 p. 204-213
幼稚園3歳児クラス20名を対象に9ヶ月間にわたり観察調査を行い, 動作パターンと保育者の援助より, 幼児期の着脱動作の特徴を考察した.
(1) 保育者の援助は, 脱衣では主に「腕や頭を抜く」, 着衣では「はおる」に対して行われており, 3歳児にとっては難しい動作であることが示唆された.
(2) かぶり型衣服 (ポロシャツ・カットソー) の脱衣では, 腕から抜くという特徴がみられた. 動作の習得中は複数のパターンによって行われるが, 動作を習得すると動作パターンは定まるといえる.
(3) 前あき上衣の着衣におけるはおる動作では, 衣服の形態を確認してから動作を開始する様子が観察された. 保育者も援助を行っており, 「はおる」動作の習得において背中側での動作が難しいと推察される.
(4) 下衣の着脱の体位は, 観察期間中に「座位」から「つかまる」, 「立位」へと変化しており, 体位には全身を使う運動能力のうち平衡系動作の発達が影響していると推察される.