日本家政学会誌
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「開ける」行動を誘導する色彩と表示方法の検討
山下 健内藤 章江大澤 香奈子小町谷 寿子石原 久代橋本 令子
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2019 年 70 巻 3 号 p. 140-149

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抄録

 生活における動作や行動は誰もが直感的に行えることが望ましい. 色彩には象徴性が存在し, 生活行動をサポートするユニバーサルデザインとして応用が可能と考える. そこで本研究は, 「開ける」行動が色彩によって心理的に誘導されるか検討した. 被験者は女子大学生252名であった. 実験試料として3種のアイテム, 3種の表示方法, 7種の色彩を組み合わせた計63種の写真試料を作成した. 被験者には写真試料を1枚ずつ呈示して「開ける」行動の「わかりやすさ」を回答させた. その結果, 表示方法は「文字と記号の両方を表示」, 色彩は「鮮やかな赤」, 「鮮やかな青」, 「黒」を用いた場合に「わかりやすい」の評価は高くなった. 中でも「開ける」を連想させる「鮮やかな赤」の評価はいずれのアイテムにおいても「わかりやすい」の評価が高くなった. この結果から, 色彩により「開ける」行動を心理的に誘導できることが確認でき, 生活行動を連想させることに特に高い効果を有することが明らかとなった.

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© 2019 一般社団法人 日本家政学会
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