日本家政学会誌
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雇用者夫妻のペイドワーク時間とアンペイドワーク時間
―ワーク時間階級別にみた夫妻相互の生活時間―
貴志 倫子上原 智子平田 道憲
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2006 年 57 巻 1 号 p. 3-12

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抄録

同一世帯内の夫妻について, それぞれのワーク時間が自身と配偶者の生活時間配分に与える影響について考察した. 主な結果は次のとおりである.
(1) PW時間階級の分布より, 共働きの妻は, 夫に比べ, 9時間を超えて働く割合が少なく, 逆に, 夫はUWに割く時間が少なく, 120分以上UWを行うのは, 妻の就業形態によらず約1割である.
(2) 共働きの妻自身のPW時間階級が増すにつれ, 生理的時間を差し引いた時間を二分するように, 妻のUW時間と自由時間は同じような減少傾向を示していた.
(3) 妻常勤世帯と妻パート世帯において, 夫のUW時間は, 妻のUW時間が長くなるにつれ増加していた. しかし, 妻の就業によるUWの減少分を夫が補完しているとはいえない状況であるだけでなく, 週全体のデータでは, 夫のPWは, 妻のPW時間が長くなるにつれ, むしろ増加する傾向にあった.
(4) 妻無業世帯における夫のUW時間は, 妻のUW時間が長くなるにつれ増加する傾向はみられなかったが, 共働き世帯の夫に比べ, UW時間が短いわけではない.
(5) 配偶者のワーク時間別の生活時間で, 妻無業世帯の妻のUW時間と夫のPW時間は相互に関連しており, 妻常勤世帯や妻パート世帯に比べ, 夫妻のワーク時間が相互の生活時間に影響を与えていた.
本研究の結果は, 原データの目的外使用によってはじめて明らかにすることができた部分が多い. 引き続き, 夫妻間のより詳細な属性を考慮していくと同時に, 他の世帯員にも分析枠組みを広げ, 世帯のワーク時間構造を明らかにしたいと考える.

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© 2006 一般社団法人 日本家政学会
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