日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
部分的脾動脈塞栓術後に生じた高アンモニア血症に対してバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術を施行した1例
佐々木 嶺石川 剛西村 達朗松田 崇史高見 太郎坂井田 功
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2021 年 27 巻 4 号 p. 296-301

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抄録

B型肝硬変症の70歳代女性患者が,脾機能亢進に伴う血小板減少症に対する精査加療目的で当科に紹介され入院した.腹部造影CT検査では脾腫および脾腎シャントが認められ,ドプラ超音波検査では脾静脈血流は遠肝性を呈していた.部分的脾動脈塞栓術(partial splenic embolization:PSE)によって血小板数は著増(4.5→10.1×104/μl)し鼻出血などの出血症状は消失した.しかしながら,PSE後に血中アンモニア濃度が漸増(54.4→154.7 μg/dl)したため,脾腎シャントに対するバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術を施行した.脾静脈血流は求肝性に転じ,血中アンモニア濃度は47.6 μg/dlへと速やかに低下した.脾腎シャントを伴う脾腫・脾機能亢進症症例に対しては門脈-脾静脈系血行動態を十分に把握した上で,その治療戦略を構築しなければならない.

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© 2021 日本門脈圧亢進症学会
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