2020 年 26 巻 2 号 p. 173-176
食道静脈瘤の硬化療法の際に鎮痙剤(ブチルスコポラミン臭化物:ブスコパン®,サノフィ株式会社)を持続静脈内投与することによる,食道蠕動抑制効果について検討した.2016年6月から2018年6月までに予防的に硬化療法を行った24例を対象とした.ブスコパンの静脈注射群(静注群)10例と持続静脈内投与群(持続投与群)14例の2群に分けて患者背景,穿刺針の固定時間,治療所要時間,静脈瘤・供血路描出率,薬剤使用量などについて前向きに比較検討を行った.なお,検討期間内では当初計画した必要症例数に達しておらずサンプルサイズも小さいことから中間解析の報告であり,主要評価項目である穿刺針の固定時間は両群間において有意差を認めない結果となった.結果として,両群とも合併症は認めなかったが心拍数増加率は静注群で有意に高値を示しており(p=0.04),今後も症例の蓄積が望まれるがブスコパンの持続静脈内投与は安全に施行できることがわかった.