2012 年 2012 巻 p. 20120002
本論文では, 複合材料の2スケール応力解析をボクセル有限要素解析にて省力的・効率的に行うため, GPUを用いることでさらに高速化しうる実装法を提案する. まず複合材料の2スケール応力解析について述べてから, 連立1次方程式の反復解法である前処理付き共役勾配法 (PCG) アルゴリズムの, 本問題への特化について概説する. 続いて, Nvidia社Fermi世代GPUへの具体的な実装法を詳述する. その後, GeForce GTX580を用いた数値実験結果を示す. すなわち, PCG全体の演算速度として75±20GFLOPS程度 (理論値の約1割) を得た. これは, Core i9 950 (Intel社Nehalem世代CPU) 搭載のPCと比較して, 4~5倍の高速化である. その結果, 実装したGPUコードを基にして, ある硬化セメントペーストの非線形損傷進展解析1) を2003要素分割で行ったところ, PCでは約1週間を要していたものが, GPUでは約1日に短縮されるようになった.