繊維製品消費科学
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固体粒子汚れの洗浄性に及ぼす表面自由エネルギーの影響
田川 由美子後藤 景子
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2007 年 48 巻 6 号 p. 389-395

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抄録

水晶振動子法を用いて水溶液中での固体粒子汚れの洗浄性について調べ, 表面自由エネルギーに基づいて検討を行った。洗浄基質には, 水晶振動子の金電極表面および電極にポリエチレン, ナイロン6, トリアセテートをスピンコート法により被覆した膜表面を用いた。モデル粒子汚れには, ポリエチレン粒子およびナイロン12粒子を用いた。基質への粒子の付着は, 水晶振動子を粒子分散液に垂直に浸漬する方法で行なった。分散液から基質を引き上げて空気中で乾燥した後, エタノール添加または無添加の水溶液中で粒子の洗浄を行った.洗浄率は付着前後および洗浄前後の周波数変化から算出した。洗浄率は粒子および基質により異なるが, いずれの系でもエタノールの添加により洗浄が促進された。3種類の指標液体の接触角から, 汚れおよび基質の表面自由エネルギーのLifshitz-van der Waals成分と酸一塩基成分を求めた。本研究で得られた固体粒子汚れの洗浄現象は表面自由エネルギーから算出した脱離の自由エネルギー変化により説明できることがわかった.

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© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
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