繊維製品消費科学
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布のドレープ性について
―F.R.L.ドレープの形態評価について―
須田 紀子稲垣 勝彦中山 晃
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1997 年 38 巻 3 号 p. 167-172

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抄録

ドレープ形態の美しさを視覚的に評価するときには, 垂下程度を一定にして行うべきであることを提案している.しかし, そのような垂下形態を作るのには非常に手数がかかる.そこで, 本報では, 簡便な評価方法を探るために, ドレープの垂下形態において相似則が成立する条件について検討した.
各種試料のドレープ形態において, 垂下長 (L) と支持台半径との比を1: 1に保ち, 一定のドレープ係数を示す垂下長を求め, L/3√EI/Wの値を算出し, それらの試料のドレープの垂下形態にL/L1=3√EI/W/3√EI1/W1の相似則があてはまるかどうかをみた.
実験試料として用いた, 布, フィルム, ゴム, 紙等非常に多様な材質の15種類の試料においては, L/3√EI/Wの値は一定とはならず, 相似則が成立しないが, ほぼ同一材質の, 厚さの異なる4種類のゴムシートでは, 一定とみなせる値となり成立することがわかった.このようにほぼ同一材質の試料であることが相似則の成立する条件の1つであると考えられるが, さらに, 4種類のゴムシートのドレープ形態ではノード数も一定となったことから, ノード数が等しいことも相似則の成立に関わる一つの要素であることが推測できた.
なお, 15種類の試料について得られたL/3√EI/Wの値の大・小は, ドレープ性の良否とかなりよい対応関係のあることが認められた.

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