EC サイトを利用した衣服の販売においては,布の風合い情報を消費者に伝えるのが難しい.本報では実際のEC サイトを調査することにより,衣服の風合いがどのように表現されているのかを調査した.さらに大学生を対象とした意識調査から,EC サイトでの衣服の購入にあたり,消費者が風合いに関するどのような情報を求めているのかを明らかにした. その結果,EC サイトでは主に「商品画像」と「商品に関する説明」により,布の風合いが表現されていた.布の風合いについて,3 段階程度の指標で表す例も認められたが,詳細な指標は認められなかった.消費者はEC サイト上で,風合いに関する情報が増えた方がよいと考えており,特に布の「厚さ」や「透け感」,「ドレープ」や「ハリ」などについてのより詳しい情報を求めていた. 今後は,消費者に伝わりやすいよう,布の物性についての客観的な指標により,EC サイト上で風合いを表現することが課題であることが示された.