本研究では,天然染料にログウッド抽出染料液を用いジアセテートの染色を試みた.その結果,ジアセテートの染色では染浴pH の影響を強く受け,pH6 以下の酸性域ではpH の増加とともに表面色濃度が増加し,pH6 付近で極大値となり,それ以上では表面色濃度が減少,pH10 では全く染着しないとする染着挙動が明らかになった.また,染色温度が高くなるにしたがって表面色濃度は増大するが,80℃以上では吸熱反応の寄与が大きくなり表面色濃度が減少することも明らかになった.また,一般的に多用される金属イオン(アルミ,銅,鉄)による媒染処理も可能であった.ただし,ジアセテート繊維では染色温度によって色素が染着できる領域が変化するため,媒染作用は染着領域の特性と媒染金属イオンの浸透性に大きく依存することが見出された.結果としては,媒染温度が染色温度以上であれば媒染は可能であるが,染着した色素を完全に媒染するには80℃付近の高い温度で媒染する必要があった.