日本蚕糸学雑誌
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成木桑における炭水化物の周年変化
桑の生育過程における樹体内成分の動態解析 (第3報)
白田 和人高岸 秀次郎
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1987 年 56 巻 2 号 p. 99-105

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抄録

ほ場における樹令7年目の夏切り桑の生育サイクルを, 夏切り直後の再生長期, その後の同化, 蓄積期, 落葉中の蓄積期および春の新梢の発芽, 発育期の4期に分け, 各期における樹体内炭水化物の器官別含量の変化を調査し, 以下のような結論を得た。
(1) 生長, 再生長過程ではエネルギーの供給器官として地下部の役割が大きい。
(2) 夏切り以降, 同化された炭水化物はおもにデンプンの形で地上部に蓄積されるが, この間でも地下部の糖は減少し, 地上部の発育に利用される。
(3) 春の新梢生長期には見掛け上少なくとも発芽後40日間は貯蔵炭水化物に依存して生長している。
(4) 冬期間は地上部に蓄積されたデンプンが糖に変換し, 枝条の耐寒性の強化に寄与している。

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