1987 年 56 巻 6 号 p. 511-515
ヒ素を添加した飼料をカイコの幼虫に連続的に与え, 慢性毒性について組織化学的に調べた。
1. ヒ素摂食蚕は薄黄色の体色を呈し, ヒ素濃度に反比例した経過体重を示した。上蔟後は不結繭蚕が多数出現し, 繭中斃蚕や未化蛹, 半化蛹などの変態異常蛹が多く発生した。
2. ヒ素の組織化学的検索結果から, 中腸, 後腸, 真皮細胞, 前・中部絹糸腺のセリシン層, 神経球の髄質, マルピーギ管などにヒ素の集積が認められた。
3. ヒ素中毒蚕の中腸組織には白色と黒色を呈する2種の腫瘍状の組織が突出形成されていた。