日本蚕糸学雑誌
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農薬投与により中腸細胞が更新されたアメリカシロヒトリ幼虫のウィルレス感受性
野口 洋子山口 邦友
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1985 年 54 巻 4 号 p. 310-314

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抄録

前報においてアメリカシロヒトリ幼虫がカイコCPVに感染した場合, 感染中腸細胞が脱落して治ゆが起こり, 治ゆ幼虫は同種ウイルスの感染に対し強い抵抗性を示すことを報告した。今回は, アメリカシロヒトリ幼虫に硫酸銅, ホルマリン, PAP乳剤, DEP乳剤を経口投与することにより, 生存幼虫に顕著な中腸細胞の更新が起こることを明らかにした。また, このように中腸細胞が更新された幼虫にカイコCPVを経口投与し, 感染状況を調査したところ, 感染率は無処理幼虫と差異が認められなかった。
これらの結果から, 治ゆ幼虫の示す同種ウイルスに対する抵抗性は, 更新細胞に一般的に備わった自然抵抗性ではなく, 更新の原因となったウイルス感染と関連して結果的生じた獲得抵抗性であることが示唆された。

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