日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
中国の低緯度地方における夏秋蚕用強健性蚕品種の交雑育種に関する一考察
何 毅黄色 俊一
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 53 巻 4 号 p. 320-324

詳細
抄録

本報の目的は, 中国の低緯度地方における夏秋蚕用強健性蚕品種の交雑育種に際し, 交雑第1代目に2化性または多化性系統のどちらを雄 (または雌) 親として用いた方が有利であるかを知ることである。カンボージュと支124, 大造と支124の正逆交雑後代 (F2とF3) に不良条件を与え, 生存率によって抵抗性・強健性を検討した。不良条件は高温多湿育, 不良飼料育, 絶食およびスミチオン投与である。実験結果は正逆交雑および選抜方法によって差が認められ, 不良条件に対する抵抗性が常染色体上のポリジーン系と伴性遺伝子 (晩成遺伝子と思われる) によって制御されていることを暗示していた。これらのことから, 強健性を主目的とする中国の低緯度地方の夏秋蚕期用品種育成のための交雑育種においては, 交雑第1代目に多化性系統を雄親として使う方が, 有利であろうと考察した。

著者関連情報
© 社団法人日本蚕糸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top