1984 年 53 巻 3 号 p. 241-244
K座位以外の遺伝的背景が支137号と同一になるよう育成した支137-K系統 (K/+) を用いて, 人工飼料育した場合におけるK遺伝子の量的諸形質に及ぼす影響について追究した。支137-K×支137号の相反交配で分離するK/+と+/+および支137-Kの相互交配により分離するK/K, K/+, +/+について比較した結果, K遺伝子の影響は, 蛹重>繭重>繭層歩合>消化量>食下量>消化率>繭層重>飼料利用効率の順に現われた。このうち繭重, 蛹重, 食下量, 消化量, 消化率では, K/K>K/+>+/+の関係が顕著であった。一方, 繭層重ではK/KとK/+の差異はほとんどなく, +/+が僅かに軽かった。さらに繭層歩合では, +/+>K/+>K/Kの関係が明瞭であり, 飼料利用効率では, +/+≒K/+>K/Kの傾向が認められたが, これらの関係はすべて人工飼料育においてK遣伝子の繭層重に対する影響が食下重, 繭重などに及ぼす影響とは異なることに原因すると推定した。