1984 年 53 巻 1 号 p. 14-20
受光態勢の良い桑の樹形を究明するため, 枝条の開張度を異にする5種のモデル桑樹を作成した上, 各モデルの群落の散光ならびに直達光に対する光遮断率, 層別の受光能率をコンピューターにより計算し, 受光態勢の比較検討を行った。その結果, 枝条長が50cmから150cmの時期では常に枝条が開張しているほど群落の光遮断率が高かった。特に枝条長が100cmおよび150cmの時には, 群落の中・上層部の受光能率に著しいモデル間差があるためこの傾向が顕著であったが, 下層部における直達光の受光能率は, 9月頃には逆に枝条が直立している群落の方がまさっていた。枝条長が200cmに達すると, どの群落でも入射光の大部分を受光できるので, モデル間の優劣は判定できなかった。