日本蚕糸学雑誌
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粉末活性炭に対するセリシンの被吸着性
漆崎 末夫
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1974 年 43 巻 5 号 p. 401-404

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抄録

はじめに純水中において粉末活性炭による塩酸およびカセイソーダの吸着を検討し, この結果にもとづきM/5 SORENSENホウ酸緩衝液中 (pH9.0) でのセリシンの吸着におけるpH, 電解質 (硫酸アンモニウム) 濃度, 非電解質 (尿素) 濃度および温度などの影響を検討し, セリシンの被吸着性を考察した。
1. 粉末活性炭の表面には酸性および塩基性の有機官能基が存在し, かつ前者が後者よりかなり多いことが推定された。
2. セリシンには粉末活性炭によって吸着されるものとされないものとがあり, 全体のそれぞれ90%, 10%であることが推察された。
3. 吸着されるセリシンには吸着がpH, 電解質濃度に影響されるものとされないものとがあり, 吸着されるセリシンのそれぞれ約40%, 60%であることが推察された。
4. 前者 (約40%) のセリシンの吸着は粉末活性炭の表面に存在する有機官能基との間の静電的相互作用と, また後者 (約60%) のセリシンの吸着は粉末活性炭表面の主要構成成分である炭素6原子環との間の疎水的相互作用と密接な関係があると考察された。

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